30周年記念デジタルブック
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かずさ遺伝子検査室理化学研究所との連携ジェフリー・モデル財団との連携44RAPIDヒト遺伝子研究の成果を社会に役立てる かずさDNA研究所は、2007年に独立行政法人理化学研究所(当時、現在は国立研究開発法人)との間で、原発性免疫不全症の原因遺伝子探索、診断のための遺伝学的検査、その統合的なデータベース構築を目的とした共同研究契約を締結しました。この研究課題は、理化学研究所にも参画いただいていた都市エリアプロジェクト(2009年~2013年;35ページ参照)のテーマとしても取り上げ、当研究所の重要な活動と位置づけました。これを契機に、当研究所のヒト遺伝子研究は基礎の領域だけでなく、医療の分野にも展開されることとなりました。 こうした基礎ゲノム科学、基礎免疫学、臨床免疫学の研究者らが連携して難病に立ち向かう枠組みは国際的にもほとんど前例がなく、こうした活動実績からアメリカの患者団体であるジェフリー・モデル財団が我が国初の診断・研究センターを2008年に設立するに至りました。 さらに、こうした当研究所の難病の遺伝学的検査への取り組みは他の難病の臨床医にも注目され、2010年からは特定非営利活動法人オーファンネット・ジャパンから広く難病の遺伝学的検査の委託解析を受け入れ始めました。こうした地道な「社会ニーズはあるが、受け皿がない」社会的な課題克服のための活動を継続してきたことが、2017年の登録衛生検査所としてのかずさ遺伝子検査室の設立とその活動の全国展開に結びついています。(小原 收)原発性免疫不全症の臨床研究から難病の遺伝学的検査へ

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