30周年記念デジタルブック
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https://academic.oup.com/dnaresearch(Impact factorの推移と歴代編集委員一覧は資料編参照)25DNA Research 表紙デザイン我が国を代表する国際科学ジャーナル かずさDNA研究所が開所した1990年代は、分子遺伝学の急速な発展の中から遺伝情報をより俯瞰的に捉えようとするゲノム研究が台頭しつつある時期でした。当研究所では国内の先陣を切って、大規模なゲノム塩基配列データを広く論文公開することを目指していました。しかし、当時はゲノム構造の大規模データを主体とする論文の掲載に適した国際科学ジャーナルは存在していませんでした。そこで私たちは、大量のゲノムデータを論文公開しようとしている国内外の研究者に向けて、1994年2月に新たな国際科学ジャーナルDNA Research 誌を創刊しました。 記念すべき第一巻第一号には、当時国際プロジェクトで進められていた枯草菌のゲノム解読で、日本チームが解読を進めていた複製起点を含む180kb(18万塩基対)領域のDNA配列、当研究所で大規模解析が進んでいたヒト由来cDNAプロジェクト(24ページ参照)の成果から40種類の新規cDNAのDNA配列、国内で大規模に進められていたヒトESTプロジェクトのうち、結腸粘膜に由来する遺伝子の発現解析データを報告する論文が発表されました。その後も、世界初の光合成生物全ゲノム解読の成果であるラン藻の全ゲノム構造、これも世界初となる根粒菌の全ゲノム解読、国内共同プロジェクトの成果である大腸菌O157株の全ゲノム構造、米国チームによるイネ高密度連鎖地図など、ゲノム解析の最先端の成果が多数掲載されました。 DNA Research誌は2023年に創刊30周年を迎え、2023年のImpact Factorは3.9(最高は2014年の5.477)で、海外からの投稿も多数を占めています。(田畑 哲之)DNA Research誌の発行

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