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研究成果

ラッカセイのもつ病害抵抗性遺伝子のゲノム上の位置を特定しました。

~さび病・黒渋病に強いラッカセイ品種の改良が容易に~

2016年2月17日

(公財)かずさDNA研究所は、インドのダールワール農業科学大学、国際半乾燥地熱帯作物研究所(ICRISAT)との共同研究で、インドで栽培されているラッカセイ品種がもつ、さび病・黒渋病抵抗性遺伝子のゲノム上での位置を特定しました。

さび病や黒渋病はある病原菌の様々な系統が原因で起こる病害で、その被害は日本のみならず世界中に広がっており、ラッカセイ減収の大きな要因のひとつとなっています。

研究チームは、インドで栽培されている、さび病・黒渋病に強いラッカセイ品種と弱いラッカセイ品種を交雑し、その子孫をDNAマーカー*で遺伝解析することにより、さび病・黒渋病に強いラッカセイ品種の持つ、これらの病気に対する抵抗性を示す領域のひとつをB03染色体の一領域に見いだしました。DNAマーカーにより、今回見出されたラッカセイ栽培品種のもつさび病・黒渋病抵抗性の形質を、抵抗性をもたない品種に導入することが可能となります。

かずさDNA研究所は、DNAマーカーの開発と遺伝子の位置の予測解析を担当しました。

論文は、植物育種の国際雑誌Euphyticaで2016年2月11日にオンライン公開されています。論文の要旨(英文)は以下のサイトでご覧いただけます。
http://link.springer.com/article/10.1007/s10681-016-1651-0

※DNAマーカー:生物個体の遺伝的性質、もしくは系統(個人、親子・親族関係、品種など)を特定するための目印となる個体特有のDNA配列のことをいいます。DNAマーカーもメンデルの遺伝法則に従って遺伝するため、単純な遺伝様式で伝わる形質を司る遺伝子については、どのDNAマーカーの近くに存在するのかを利用して、遺伝子の染色体上の位置を明らかにすることができます。

写真:ラッカセイ2品種に人為的に黒渋病を接種した例。
左:黒渋病に抵抗性のない品種、右:黒渋病に抵抗性のある品種。抵抗性のない品種では、葉が黒く変色しています。