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(ピーク検出のアルゴリズム)
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=== ピーク検出のアルゴリズム ===
 
=== ピーク検出のアルゴリズム ===
  
m/zの近いイオンを集めて、シグナル強度の消長(ピークの立ち上がりと終わり)を検出するためには、マスクロマトグラムのデータを、m/z方向に微小な範囲で区切って集計することが必要です。通常これには、m/zを決まった幅ずつ区切る方法が使われます。たとえばm/zを0.1ずつ区切るなど。このように区切られた区画のことをbin(ビン)と呼ぶことがあります。
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m/zの近いイオンを集めて、シグナル強度の消長(ピークの立ち上がりと終わり)を検出するためには、マスクロマトグラムのデータを、m/z方向に微小な範囲で区切って集計することが必要です。通常これには、m/zを決まった幅ずつ区切る方法が使われます(たとえばm/zを0.1ずつ区切るなど)。このように区切られた区画のことをbin(ビン)と呼びます。
  
高分解能MSでは、非常に小さな質量範囲(たとえばm/z 0.001ずつ)でbinを形成しないと、高分解能を生かしたピーク検出ができません。一方、binの幅を細かくしすぎると、丁度binの境界値に乗ってしまう化合物ピークが増えてしまったり、局所的なマスずれによる影響を受けやすくなったりします。また、コンピューターの計算量も膨大になってしまいます。
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高分解能MSでは、非常に小さな質量範囲(たとえばm/z 0.001ずつ)でbinを形成しないと、高分解能を生かしたピーク検出ができません。一方binの幅を細かくしすぎると、丁度binの境界線に乗ってしまう化合物ピークが増えてしまったり、局所的なマスずれによる影響を受けてピークが分断されてしまったりします。また、コンピューターの計算量も膨大になってしまいます。
  
 
そこでPowerFTでは、binを形成しない独自のアルゴリズムでピークを検出します。
 
そこでPowerFTでは、binを形成しない独自のアルゴリズムでピークを検出します。
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# ここで検出されたピーク部分には、複数のピーク成分が含まれる可能性があります。最後のステップとして、1スキャンポイントごとに1イオンずつとなるよう、ピーク成分を分解します。
 
# ここで検出されたピーク部分には、複数のピーク成分が含まれる可能性があります。最後のステップとして、1スキャンポイントごとに1イオンずつとなるよう、ピーク成分を分解します。
  
上記のステップ1と2についてはSettingメニューのSetting for Ion Groupingで、ステップ3についてはSetting for Peak Detectionで設定を行います。
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上記のプロセス1と2についてはSettingメニューのSetting for Ion Groupingで、プロセス3についてはSetting for Peak Detectionで設定を行います。
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=== イオングループの形成 ===
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SettingメニューのSetting for Ion Grouping...を選択すると、右図のような画面が表示されます。
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プロセス1のイオンのグループ化では、つなげて良い隣接するイオンのm/z値の判定に、二つの方法が選べます。
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*by rounded m/z: イオンのm/zを四捨五入して、同じであればつなげる方法
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*by dif. with neighbor ions: 隣接するイオンとのm/zの差が、指定したもの以内であればつなげる方法
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このほか、許容するスキャンポイントのギャップ数と、イオン強度の足切り値を設定できます。
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プロセス2の、イオングループのマージでは、イオングループの平均m/zの差の許容範囲と、イオングループ末端同士の許容スキャンギャップ数を指定できます。
  
 
== その他 ==
 
== その他 ==
  
 
メニューopen analysis
 
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2013年1月17日 (木) 06:07時点における版

解析ステップ1)Peak Detection - ピーク検出

目次

このステップでは、Full MSの全データから、近いm/zを持つイオンを溶出時間方向につなぎ合わせ、そのシグナルの消長からピーク部分を検出します。この時点では、単一化合物に由来する12Cピークと13Cアイソトープピークを関連づけたりなどは、まだ行われません。ピークが立ち上がりバックグラウンドレベルになるまで溶出時間方向に連続して出現するイオンをまとめ上げるだけです。このように、ひとつのピークを形成するイオン群を、ここでは「イオングループ」と呼んでいます。

PowerFTでのピーク検出では、セントロイド化されたマススペクトルが使用されます。


準備

Peak Detectionツールの起動

メイン画面FileメニューのOpen Home Directoryで、ホームディレクトリを選択します。その後、AnalysisメニューのPeak Detectionを選択してください。ツール画面が表示されます。

データの選択

ツール画面のFileメニューからNew Analysisを選ぶと、右図のような画面が表示されます。

フォルダアイコンをクリックして解析に使用するFull MSファイルを選択してください。Full MSファイルは、内標補正をしていないものを使用してください。
Analysis Name欄に適当な解析名を入力してください。デフォルトの「New Analysis」のままでも結構です。
OKボタンを押してください。

※同じFull MSファイルに対して、パラメーター設定を変えて複数のデータ解析をするようなケースを考え、PowerFTでは、それぞれのデータ解析に解析名を与えて区別しています。

この操作を行うと、ホームディレクトリに「Analysis」フォルダが作成され、その中に上記でつけた解析名のフォルダが作成されます。以降の解析データは、この解析名のフォルダに保存されてゆきます。

ピークの検出

ピーク検出のアルゴリズム

m/zの近いイオンを集めて、シグナル強度の消長(ピークの立ち上がりと終わり)を検出するためには、マスクロマトグラムのデータを、m/z方向に微小な範囲で区切って集計することが必要です。通常これには、m/zを決まった幅ずつ区切る方法が使われます(たとえばm/zを0.1ずつ区切るなど)。このように区切られた区画のことをbin(ビン)と呼びます。

高分解能MSでは、非常に小さな質量範囲(たとえばm/z 0.001ずつ)でbinを形成しないと、高分解能を生かしたピーク検出ができません。一方binの幅を細かくしすぎると、丁度binの境界線に乗ってしまう化合物ピークが増えてしまったり、局所的なマスずれによる影響を受けてピークが分断されてしまったりします。また、コンピューターの計算量も膨大になってしまいます。

そこでPowerFTでは、binを形成しない独自のアルゴリズムでピークを検出します。

  1. まず、決められた条件で隣接するm/zの近いイオンをつなぎ合わせグループを形成してゆきます(Ion Grouping)。
  2. その後、グループ化されたイオン群同士を少し緩い条件でつなぎ合わせてゆき、収束するまで繰り返します(Group Merging)。
  3. こうしてマージされたイオンの連なりをbinと見立てて、ピークの消長を判定し、ピーク部分を検出します。
  4. ここで検出されたピーク部分には、複数のピーク成分が含まれる可能性があります。最後のステップとして、1スキャンポイントごとに1イオンずつとなるよう、ピーク成分を分解します。

上記のプロセス1と2についてはSettingメニューのSetting for Ion Groupingで、プロセス3についてはSetting for Peak Detectionで設定を行います。

イオングループの形成

SettingメニューのSetting for Ion Grouping...を選択すると、右図のような画面が表示されます。

プロセス1のイオンのグループ化では、つなげて良い隣接するイオンのm/z値の判定に、二つの方法が選べます。

  • by rounded m/z: イオンのm/zを四捨五入して、同じであればつなげる方法
  • by dif. with neighbor ions: 隣接するイオンとのm/zの差が、指定したもの以内であればつなげる方法

このほか、許容するスキャンポイントのギャップ数と、イオン強度の足切り値を設定できます。


プロセス2の、イオングループのマージでは、イオングループの平均m/zの差の許容範囲と、イオングループ末端同士の許容スキャンギャップ数を指定できます。

その他

メニューopen analysis

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操作
案内
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