Manual PowerGet PowerFT MainWorkFlow ISCorrection
(ページの作成:「{{Breadcrumb |メインページ|メイン }} <p class="km_title"> TITLE </p> {| style="float: right" |__TOC__ |} <br style="clear: both;" />」) |
|||
(1人の利用者による、間の2版が非表示) | |||
1行: | 1行: | ||
{{Breadcrumb | {{Breadcrumb | ||
|メインページ|メイン | |メインページ|メイン | ||
+ | |Manual_PowerGet|PowerGetマニュアル | ||
+ | |Manual_PowerGet_PowerFT|PowerFT | ||
+ | |Manual_PowerGet_PowerFT_MainWorkFlow|主な解析の流れ | ||
}} | }} | ||
− | <p class="km_title"> | + | <p class="km_title">内部標準によるm/zの補正</p> |
{| style="float: right" | {| style="float: right" | ||
|__TOC__ | |__TOC__ | ||
|} | |} | ||
+ | |||
+ | フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析(FT-ICR-MS)やオービトラップ型質量分析(Orbitrap-MS)では、1~3 ppmといった高精度の質量分析が可能です。既知の内部標準物質(internal standards, IS)を添加した分析を行い、その精密質量値で検出データを補正することで、さらに高精度の質量分析を行うことが可能になります。 | ||
+ | |||
+ | ここでは、クロマトグラフィーでの分離の後に常に内部標準物質(複数)を添加しながら質量分析をする「ポストカラムインジェクション」での分析データを想定し、全スキャンポイントでm/zの補正を行う方法を紹介します。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | このIS補正で作成された補正データは、実際には解析の4ステップ目「Peak Assignment」で使用されます。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | ポストカラムインジェクションで分析されていないデータは、この補正を行う必要はありません。また、データ取得環境によっては、内標補正により逆にずれが大きくなることもあります。データに応じて補正の有無をご検討ください。 | ||
+ | |||
+ | |||
<br style="clear: both;" /> | <br style="clear: both;" /> | ||
+ | |||
+ | == IS補正ツールの使い方 == | ||
+ | |||
+ | <span class="km_menu">File</span>メニュー<span class="km_menu">Open Home Directory</span>で、ホームディレクトリを選択後、<span class="km_menu">Analysis</span>メニュー<span class="km_menu">Mass Correction by IS</span>を選択します。 | ||
+ | |||
+ | <span class="km_button">Select File</span>ボタンで補正を行うFull MSファイルを選択します。 | ||
+ | |||
+ | Select Modeプルダウンリストで分析モードを選択すると、直下のパネルの内標データが切り替わります。適切な内標セットを選択してください。 | ||
+ | |||
+ | 適切な内標セットがない場合は、こちらの方法で内標を登録してください。PowerSuiteを再起動後、もう一度IS補正ツールを立ち上げてください。 | ||
+ | |||
+ | 今回補正に使用するISにチェックを入れ、<span class="km_button">Load File</span>ボタンを押します。すると、Scan No.にスキャン番号のリスト表示されます。リストをクリックすると、そのスキャン番号におけるマスクロマトグラムが表示され、内標として認識されたイオンが青い丸で表示されます。内標イオンがきちんと認識されているかをご確認ください。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | 問題がなければ、「complement undetected ISs with their FWs」にチェックがついていることを確認し、<span class="km_button">Correct All</span>ボタンを押してください。 | ||
+ | |||
+ | ホームディレクトリに元のファイル名の先頭に「ISC_」がついたファイルができています。これが補正後のデータです。 | ||
+ | |||
+ | 元のファイル名に「Log_」がついたファイルは、各スキャンごとに内標の理論m/z値(一列目)とその検出値(二列目)が表示されています。 | ||
+ | |||
+ | == オプション == | ||
+ | |||
+ | === complement undetected ISs with their FWs === | ||
+ | |||
+ | このチェックをつけておくと、複数あるうちのいくつかのISが検出されなかった場合、そこにISがあるものと見なして線形補正がされます。ただし、認識された内標がゼロだった場合、補正はされません。 | ||
+ | |||
+ | 以下で示すように、IS補正の処理では、認識内標が少ない場合に大きな誤差を生じる可能性があります。このため、このチェックは通常 | ||
+ | つけて解析することをお勧めします。 | ||
+ | |||
+ | === Correct One === | ||
+ | |||
+ | Correct Oneボタンを押すと、現在選択されているスキャン番号のデータのみが出力されます。ファイル名は「PEAKDMASS_スキャン番号.mit」となっています。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | == IS補正処理の詳細 == | ||
+ | |||
+ | 設定した内標イオンの理論m/z値にm/z ±0.05以内で最も近い検出イオンが内標として認識されます。 | ||
+ | |||
+ | 認識された内標の検出m/z値を理論値と見なし、内標で挟まれた領域の他のピークを線形補正します。検出された内標の最小m/zより低分子側、および最大m/zより高分子側の領域は、外挿法により線形補正されます。 | ||
+ | このほか、認識された内標が少なかった場合は、以下の通り処理されます。 | ||
+ | |||
+ | 認識された内標がゼロの場合、補正は行われません。 | ||
+ | |||
+ | 認識された内標が1つだった場合、原点と検出内標を結ぶ直線で補正されます。 | ||
+ | |||
+ | 認識された内標が2つだった場合、2点を結ぶ直線で線形補正されます。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | == IS情報の登録 == | ||
+ | |||
+ | PowerGetソフトのconfigフォルダ、powerFTフォルダ中のPowerFT.iniを、テキストエディタなどで開きます。 | ||
+ | |||
+ | <nowiki>[Internal Standards]</nowiki>と書かれた以降の行に、以下のように記載します。 | ||
+ | |||
+ | :任意のラベル | ||
+ | 内標1の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名1 | ||
+ | 内標2の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名2 | ||
+ | |||
+ | 「\t」はタブを示します。Windows標準のメモ帳などでは、タブとスペースの区別がつきにくいので、ご注意ください。 | ||
+ | |||
+ | trueまたはfalseは、デフォルトでの選択状態を設定します。trueかfalseのどちらかを記載してください。 | ||
+ | |||
+ | 設定が終わったら、PowerFT.iniを上書き保存します。設定を有効にするには、PowerGetを再起動してください。 |
2013年1月16日 (水) 11:10時点における最新版
内部標準によるm/zの補正
|
フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析(FT-ICR-MS)やオービトラップ型質量分析(Orbitrap-MS)では、1~3 ppmといった高精度の質量分析が可能です。既知の内部標準物質(internal standards, IS)を添加した分析を行い、その精密質量値で検出データを補正することで、さらに高精度の質量分析を行うことが可能になります。
ここでは、クロマトグラフィーでの分離の後に常に内部標準物質(複数)を添加しながら質量分析をする「ポストカラムインジェクション」での分析データを想定し、全スキャンポイントでm/zの補正を行う方法を紹介します。
このIS補正で作成された補正データは、実際には解析の4ステップ目「Peak Assignment」で使用されます。
ポストカラムインジェクションで分析されていないデータは、この補正を行う必要はありません。また、データ取得環境によっては、内標補正により逆にずれが大きくなることもあります。データに応じて補正の有無をご検討ください。
IS補正ツールの使い方
メニュー で、ホームディレクトリを選択後、 メニュー を選択します。
ボタンで補正を行うFull MSファイルを選択します。
Select Modeプルダウンリストで分析モードを選択すると、直下のパネルの内標データが切り替わります。適切な内標セットを選択してください。
適切な内標セットがない場合は、こちらの方法で内標を登録してください。PowerSuiteを再起動後、もう一度IS補正ツールを立ち上げてください。
今回補正に使用するISにチェックを入れ、
ボタンを押します。すると、Scan No.にスキャン番号のリスト表示されます。リストをクリックすると、そのスキャン番号におけるマスクロマトグラムが表示され、内標として認識されたイオンが青い丸で表示されます。内標イオンがきちんと認識されているかをご確認ください。
問題がなければ、「complement undetected ISs with their FWs」にチェックがついていることを確認し、 ボタンを押してください。
ホームディレクトリに元のファイル名の先頭に「ISC_」がついたファイルができています。これが補正後のデータです。
元のファイル名に「Log_」がついたファイルは、各スキャンごとに内標の理論m/z値(一列目)とその検出値(二列目)が表示されています。
オプション
complement undetected ISs with their FWs
このチェックをつけておくと、複数あるうちのいくつかのISが検出されなかった場合、そこにISがあるものと見なして線形補正がされます。ただし、認識された内標がゼロだった場合、補正はされません。
以下で示すように、IS補正の処理では、認識内標が少ない場合に大きな誤差を生じる可能性があります。このため、このチェックは通常 つけて解析することをお勧めします。
Correct One
Correct Oneボタンを押すと、現在選択されているスキャン番号のデータのみが出力されます。ファイル名は「PEAKDMASS_スキャン番号.mit」となっています。
IS補正処理の詳細
設定した内標イオンの理論m/z値にm/z ±0.05以内で最も近い検出イオンが内標として認識されます。
認識された内標の検出m/z値を理論値と見なし、内標で挟まれた領域の他のピークを線形補正します。検出された内標の最小m/zより低分子側、および最大m/zより高分子側の領域は、外挿法により線形補正されます。 このほか、認識された内標が少なかった場合は、以下の通り処理されます。
認識された内標がゼロの場合、補正は行われません。
認識された内標が1つだった場合、原点と検出内標を結ぶ直線で補正されます。
認識された内標が2つだった場合、2点を結ぶ直線で線形補正されます。
IS情報の登録
PowerGetソフトのconfigフォルダ、powerFTフォルダ中のPowerFT.iniを、テキストエディタなどで開きます。
[Internal Standards]と書かれた以降の行に、以下のように記載します。
:任意のラベル 内標1の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名1 内標2の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名2
「\t」はタブを示します。Windows標準のメモ帳などでは、タブとスペースの区別がつきにくいので、ご注意ください。
trueまたはfalseは、デフォルトでの選択状態を設定します。trueかfalseのどちらかを記載してください。
設定が終わったら、PowerFT.iniを上書き保存します。設定を有効にするには、PowerGetを再起動してください。