Manual PowerGet Glossary
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+ | :13C同位体グループのなかで、12Cだけからなる質量の一番小さいピーク(モノアイソトピックピーク)のことを、PowerFTではBase Peakと呼んでいます。一般的に、マススペクトルで一番強度の高いイオンピークのことをBase Peakと呼びますが、それとは異なった意味ですので、ご注意ください。(混乱を避けるため、今後名称を変える予定です。) | ||
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+ | :複数サンプル間で、同一の化合物と思われるピークを違いに対応づけること。同様の溶出時間で同様のm/z値やMS/MSパターンを持つピークが、同じ化合物と見なされます。このため、基本的には、同じ分析条件で分析されたデータ間でのみ、アラインメントを行うことができます。 | ||
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+ | :また、対応づけられたピーク群を集計したデータのことを指して、アラインメントピークと呼ぶこともあります。たとえば、3サンプル中2サンプルで同一化合物が検出された場合、その2ピークを集計することで、平均した精密質量や平均化されたMS/MSフラグメントパターンが算出され、それらを元にしたデータベース検索結果やアノテーションづけを行うことができます。このような場合、平均化した精密質量は「アラインメントピークの精密質量」と呼びます。 | ||
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+ | :アノテーションとは注釈付けのことです。特に断りがない場合は「化合物のアノテーション」を指します。検出された化合物ピークの質量値や推定されたイオン化状態、これらをもとにした組成式推定やデータベース検索、MS/MSのフラグメント情報、分析条件、クロマトグラフィーでの溶出時間、標準物質との比較などから、「その化合物が何であるかを同定または推定すること」を、化合物のアノテーションと呼びます。 | ||
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+ | :質量分析装置から得られる、化合物イオンの質量電荷比(m/z)とその強度の測定データのこと。 | ||
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:質量分析装置は、一定の時間間隔でマススペクトルを連続的に測定します。たとえばFT-ICR-MSでは、クロマトグラフィーでの溶出時間(~1時間)の間、1秒間に1回ずつ程度の速度で精密質量を測定しつづけます。このときの一回のマススペクトルの測定点を、スキャンポイントと呼びます。 | :質量分析装置は、一定の時間間隔でマススペクトルを連続的に測定します。たとえばFT-ICR-MSでは、クロマトグラフィーでの溶出時間(~1時間)の間、1秒間に1回ずつ程度の速度で精密質量を測定しつづけます。このときの一回のマススペクトルの測定点を、スキャンポイントと呼びます。 | ||
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+ | :質量分析装置が設定した質量範囲(例えば、m/z 200~1500)の全てを測定するスキャンモードで取得したマススペクトルをフルマスと呼びます。また、 | ||
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+ | :フルマススキャンの後、特定の質量のイオンにエネルギーを加えてイオンを開裂させ、生成した分解物のm/zをスキャンした時のマススペクトルを指します。エネルギーを加えられたイオンを「親イオン」、「前駆体イオン」、「プレカーサ-イオン」などと呼び、分解物のイオンを「娘イオン」、「生成物イオン」、「プロダクトイオン」などと呼びます。 | ||
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+ | :13C同位体による | ||
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+ | :化合物に付加してイオンを形成する成分 | ||
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+ | ;多価体ピーク | ||
+ | :複数の電荷状態をとりうる化合物に由来するピークのこと。 | ||
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+ | <span id="GhostPeak"></span> | ||
+ | ;ゴーストピーク | ||
+ | :質量分析装置の検出特性や内部データ処理などにより生じた、実際に存在する化合物由来ではないと思われるピークのこと。 | ||
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+ | <span id="ActualMass"></span> | ||
+ | ;Actual Mass, Search Mass, 正味のマス | ||
+ | :検出されたm/zからイオン付加体の質量を加減し、単独の化合物の構造となったときの分子量を指します。 | ||
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+ | ;Detected Mass 検出マス | ||
+ | :質量分析装置で検出された、イオン化された状態の化合物の質量を指します。 |
2013年2月27日 (水) 09:11時点における最新版
用語解説
PowerGetのマニュアルで使用されている用語について解説します。
PowerFT
- Home Directory (ホームディレクトリ)
- 入力フォーマットとなるテキストデータを配置したフォルダを指します。
- Ion Group (イオングループ)
- ピークの検出の際、近いm/zを持つイオンが溶出時間方向に連続して出現している箇所を検出し、その立ち上がりと消失までの間をピークと判定します。このピークに含まれるイオンをまとめて、イオングループと呼んでいます。
- Real Peak
- 13C同位体グループなどにまとめ上げられる前の、同じm/zをもつイオンで形成されるピークのことを指します。
- Base Peak
- 13C同位体グループのなかで、12Cだけからなる質量の一番小さいピーク(モノアイソトピックピーク)のことを、PowerFTではBase Peakと呼んでいます。一般的に、マススペクトルで一番強度の高いイオンピークのことをBase Peakと呼びますが、それとは異なった意味ですので、ご注意ください。(混乱を避けるため、今後名称を変える予定です。)
PowerMatch
- アラインメント
- 複数サンプル間で、同一の化合物と思われるピークを違いに対応づけること。同様の溶出時間で同様のm/z値やMS/MSパターンを持つピークが、同じ化合物と見なされます。このため、基本的には、同じ分析条件で分析されたデータ間でのみ、アラインメントを行うことができます。
- また、対応づけられたピーク群を集計したデータのことを指して、アラインメントピークと呼ぶこともあります。たとえば、3サンプル中2サンプルで同一化合物が検出された場合、その2ピークを集計することで、平均した精密質量や平均化されたMS/MSフラグメントパターンが算出され、それらを元にしたデータベース検索結果やアノテーションづけを行うことができます。このような場合、平均化した精密質量は「アラインメントピークの精密質量」と呼びます。
- アノテーション
- アノテーションとは注釈付けのことです。特に断りがない場合は「化合物のアノテーション」を指します。検出された化合物ピークの質量値や推定されたイオン化状態、これらをもとにした組成式推定やデータベース検索、MS/MSのフラグメント情報、分析条件、クロマトグラフィーでの溶出時間、標準物質との比較などから、「その化合物が何であるかを同定または推定すること」を、化合物のアノテーションと呼びます。
共通
- マススペクトル
- 質量分析装置から得られる、化合物イオンの質量電荷比(m/z)とその強度の測定データのこと。
- スキャンポイント
- 質量分析装置は、一定の時間間隔でマススペクトルを連続的に測定します。たとえばFT-ICR-MSでは、クロマトグラフィーでの溶出時間(~1時間)の間、1秒間に1回ずつ程度の速度で精密質量を測定しつづけます。このときの一回のマススペクトルの測定点を、スキャンポイントと呼びます。
- Full MS フルマス
- 質量分析装置が設定した質量範囲(例えば、m/z 200~1500)の全てを測定するスキャンモードで取得したマススペクトルをフルマスと呼びます。また、
- MS/MS, MS2 マスマス
- フルマススキャンの後、特定の質量のイオンにエネルギーを加えてイオンを開裂させ、生成した分解物のm/zをスキャンした時のマススペクトルを指します。エネルギーを加えられたイオンを「親イオン」、「前駆体イオン」、「プレカーサ-イオン」などと呼び、分解物のイオンを「娘イオン」、「生成物イオン」、「プロダクトイオン」などと呼びます。
- デコンボリューション
- 合成シグナルを由来成分へ分解
- 13Cアイソトープピーク
- 13C同位体による
- イオン付加体
- 化合物に付加してイオンを形成する成分
- 多価体ピーク
- 複数の電荷状態をとりうる化合物に由来するピークのこと。
- ゴーストピーク
- 質量分析装置の検出特性や内部データ処理などにより生じた、実際に存在する化合物由来ではないと思われるピークのこと。
- Actual Mass, Search Mass, 正味のマス
- 検出されたm/zからイオン付加体の質量を加減し、単独の化合物の構造となったときの分子量を指します。
- Detected Mass 検出マス
- 質量分析装置で検出された、イオン化された状態の化合物の質量を指します。