シロイヌナズナ・タグライン共同利用システムについて


1. 趣旨
シロイヌナズナゲノム塩基配列の決定により、全遺伝子の構造が明らかとなった。これらの情報を利用して個々の遺伝子の機能解析を進める際には、多数のタグラインを整備し目的の遺伝子の破壊株を分離することが重要なステップの一つとなる。しかしながら、大学等の個々の研究室で多数のラインを作製、維持することは、空間、労力面での限界から困難な状況にある。そこで、我が国に分散して存在するタグラインを集めその有効利用を促進するために、以下のようなタグライン共同利用システムを設立する。

2. システムの概要
(1) 個別にライン化された500以上の挿入ラインを所有する研究者(以下寄託者)がかずさDNA研究所(以下DNA研)にラインを寄託する。
(2) DNA研は、寄託された各ラインのDNAからPCRスクリーニングに必要な pooled DNAを作製する。
(3) システムの利用を希望する研究者(以下利用者)は、DNA研担当者(加藤:tomohiko@kazusa.or.jp)まで DNAプールの請求を行う。その際スクリーニングする遺伝子に関する情報、特異的プライマーの配列と個数をDNA 研に連絡する。
(4) DNA 研は請求に応じて一次スクリーニングに必要なDNAプールとベクタープライマーおよび必要書類を送付する。
(5) システムの利用者は、DNAプール受領後4週間以内に一次スクリーニングの結果(電気泳動パターン)をDNA研に送付する。
(6) DNA研は、一次スクリーニングの結果がポジであった場合、利用者の請求に応じて対応する二次スクリーニング用DNAプールを送付する。
(7) 目的のタグラインが見いだされた場合には、以後の研究は、利用者と当該タグラインの寄託者の共同研究とする。共同研究の範囲、条件等は、話し合いによって決定する。
(8) 本システムは、一般公開を原則とする。

3. 寄託者
(1) 寄託されるラインの挿入DNAの種類は問わない。
(2) 寄託される種子は T2 代以降で、homo, hetero を問わない。
(3) 寄託者はPCRスクリーニングに必要なプライマーをデザインするための挿入DNA両端の構造情報をDNA研に提供する。
(4) 寄託者は、寄託されるラインについて、利用者がスクリーニングする遺伝子の種類やプライマー配列に関する条件を付けない。
(5) 寄託後に上記の条件を満たさないラインが生じた場合には、当該ライン名をただちにDNA研に連絡しシステム除外ラインリストに加える。
(6) 寄託者は、利用者から共同研究の申し出があった場合には速やかに対応する。
(7) 寄託者は、利用者と同条件のもとに本システムを利用することができる。
4. 利用者
(1) 利用者は、スクリーニングする遺伝子名、プライマー配列、スクリーニングの結果に関する情報をDNA研に提供する。これらの情報は、ラインの寄託者に提供されると共に、利用者本人の同意を得られたものについては一般に公開する。
(2) 利用者は、目的のラインを見いだした場合、DNA研から提供される寄託者、ライン名に関する情報に基づいて、寄託者との間で共同研究の話し合いを行う。
(3) システム除外ラインリストにあるラインについては、すでに寄託者によって研究が進められている可能性があり、共同研究が成立しないことがある。
(4) 多数の利用者が利用できるよう、1利用者当たりの利用回数を制限することがある。

5. DNA研
(1) かずさDNA研究所は、pooled DNA、挿入DNA側のプライマーセットを利用者に提供する。
寄託者、利用者、DNA研の担当者は、本システムが3者の相互利益を目的として設立されたものであることを了解し、上記申し合せに含まれない問題が生じた場合には各自が誠意をもって解決するよう努力する。
以上のように、シロイヌナズナタグライン共同利用システムは公的なものではありませんので、 上記の趣旨に御賛同いただくことが利用の前提条件となります。 従いまして、利用希望者には、システム利用時に上記申し合わせ文書に御署名いただくことにしております。
なお、これまでに種子の寄託等で以下の先生方の御協力をいただいております。

白野由美子(三井業際植物バイオ研究所)
柴田大輔(三井業際植物バイオ研究所)
林浩昭(東京大学農学生命科学研究科)
岡田清孝(京都大学大学院理学研究科)
石黒澄衞(京都大学大学院理学研究科)
篠崎一雄(理化学研究所、ライフサイエンス筑波研究センター)
関原明(理化学研究所、ライフサイエンス筑波研究センター)
小林正智(理化学研究所、ライフサイエンス筑波研究センター)
川村節子(理化学研究所、ライフサイエンス筑波研究センター)
鳴坂真理(理化学研究所、ライフサイエンス筑波研究センター)
大藤雅章(基礎生物学研究所)
中村研三(名古屋大学大学院生命農学研究科)
矢部 尚登(横浜市立大学、木原生物学研究所)
後藤弘爾(岡山県生物科学総合研究所)
長谷あきら(京都大学大学院理学研究科)
町田泰則(名古屋大学大学院理学研究科)
吉岡 泰(名古屋大学大学院理学研究科)
(敬称略、寄託順)


シロイヌナズナタグライン共同利用システムに関するお問い合わせは
田畑哲之(tabata@kazusa.or.jp) まで

連絡先
〒292-0812
木更津市矢那1532-3
(財)かずさDNA研究所
Tel: 0438-52-3933
Fax: 0438-52-3934

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