RSG (REPRESSION OF SHOOT GROWTH) は塩基性領域ロイシンジッパー (bZIP) 構造を持つタバコの転写活性化因子であり,直接の標的遺伝子の一つはGA合成系のent-カウレン酸化酵素遺伝子である。RSGの機能を抑制すると,ent-カウレン酸化酵素遺伝子の発現低下により活性型GA量が減少する。その結果茎の細胞伸長が著しく阻害され矮性を示す。RSGと特異的に結合するタンパク質である14-3-3は標的タンパク質のリン酸化されたセリンと結合して,その機能を調節する。RSGと14-3-3との結合にはRSGの114番目のセリン残基が必須であり,さらにこのセリン残基のリン酸化によりRSGと14-3-3との結合が制御されていた。14-3-3はRSGの負の制御因子であり,その機能制御の実体は細胞内局在制御であった。14-3-3はRSGに結合し細胞質に拘束することで核内の標的遺伝子から空間的に隔離しているのである。

(A)14-3-3との結合能力を失うとRSGは核に局在する。共焦点顕微鏡による観察で緑はRSG(S114A)-GFPの蛍光を、赤は葉緑体の自家蛍光。(B)同じ細胞の位相差像。スケールバーは20 μm。(C) 14-3-3によるRSGの機能制御のモデル。RSGは核と細胞質間を常にシャトルしている。RSGの114番目のセリン残基がリン酸化されると14-3-3と結合する。14-3-3はRSGの核移行を抑制するかまたは核外輸送を促進する。この結果,RSGは細胞質への滞在時間が長くなる。内外の情報を受容してRSGの114番目のセリン残基が脱リン酸化されるとRSGは14-3-3と解離し核に蓄積してGA合成酵素などの標的遺伝子を活性化する。

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