細胞壁は植物形態の表現装置であると同時に,形態制御に係わるシグナルの発信と受容の場でもある。植物体を構成する数十種類の組織(細胞型)は,それぞれに固有の細胞壁を構築し,それにより固有の形と機能を発現していると考えられる。細胞壁の構築には千種類以上の遺伝子が直接関与すると推定され、その全容は未だ概要さえ掴めていない。
この複雑な細胞壁の構築・再編過程を包括的に解剖するために、私達は、シロイヌナズナのゲノム情報を基にして細胞壁の動態に関与する可能性の高い762の遺伝子群を抽出し、それらの発現を定量的に解析できるマイクロアレーを開発した。 更に、細胞壁中に分泌されるタンパク質の挙動を網羅的に解析するためのプロテオーム解析を同時に進め、特定組織(細胞型)に固有の細胞型の細胞壁構築に関わる遺伝子群/タンパク質群を包括的に解析するシステムを確立した。この方法を用いて、現在、特定の細胞型の構築過程を統御する制御機能の解明を目指して研究を進めている。

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