植物の頂芽を切り取ると腋芽が伸びてくる現象は、頂芽が腋芽の成長を抑制し、優先的に成長していることから頂芽優勢と呼ばれています。この現象は、植物ホルモンであるオーキシンとサイトカイニンが重要な働きをしていることは、すでに半世紀も前に報告されていますが、その分子機構はほとんど解明されていません。頂芽優勢の分子機構を明らかにするには、オーキシンがどのようにして腋芽の成長を抑制しているのかを解明する必要があります。
 私たちは、茎を求低的に流れるオーキシンが、腋芽の成長を促進するサイトカイニン生合成に関するisopentenyltransferase(IPT)の発現を抑制していること、頂芽切除後には茎におけるオーキシン含量が低下するためIPTが発現し、サイトカイニンが生合成されることを突きとめました。これは、頂芽優勢の本質を説明できる重要な発見です。さらに、オーキシンがどのようにしてIPTの発現を制御しているかを分子レベルで明らかにしたいと考え研究を進めています。

morihito@agr.nagoya-u.ac.jp

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