図Aは,イネの野性型の花で,真ん中に1本の雌ずい(赤い矢印),その周りに6本の雄しべ(青い矢印)が形成されます.図Bは,DLという遺伝子が機能を失ったホメオティック変異体で,本来雌ずいができる位置に,雄しべがたくさん作られています(白い矢印,青い矢印は本来の雄しべ).
 私たちは,このDL遺伝子をクローニングし,植物に特異的な転写因子をコードしていることを明らかにしました.表現型やDL遺伝子の空間的発現パターンから,DL遺伝子が雌ずいの形成に必須な遺伝子であることが判明しました.双子葉植物のシロイヌナズナでは,DLのオーソログ遺伝子が欠損しても,このようなホメオティック変異は起こりません.したがって,イネが進化する過程で,この DL 遺伝子の働きがとても重要になってきたことがわかります.

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