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研究成果

ほぼすべてのフラボノイドを検出する技術を開発しました。

〜植物の機能性関与成分の研究が加速〜

2017年5月8日

 フラボノイドは植物が作り出す物質の一種で、抗酸化作用で知られるポリフェノール類に含まれます。健康の維持・増進のためには、食品に含まれるこれらの成分を効果的に摂取するとよいとされおり、平成27年4月に始まった「機能性表示食品制度」にはフラボノイド成分を含む食品が多く登録されるなど、注目が集まっています。

 茶カテキン、大豆イソフラボン、花の色のアントシアニンなどがフラボノイドとしてよく知られていますが、自然界には、約7,000種類のフラボノイドが存在するといわれており、そのほとんどの性質はまだよくわかっていません。

 かずさDNA研究所では、生物が作り出す化学物質(代謝化合物)の動態を詳細に把握することは、生命の理解だけでなく生物の産業応用に役立つと考えて、多くの代謝化合物を一斉に検出する技術(メタボロミクス技術)を研究開発しています。

 今回、植物などに含まれるフラボノイドを質量分析装置で高感度に網羅的に検出・同定する技術、FlavonoidSearchを開発しました。この技術は、機能性のあるフラボノイドや有用植物資源の研究・探索などに用いることができます。

 千葉県が生産量一位のパセリについて、FlavonoidSearchで調べたところ、これまでに報告されていないフラボノイドが10種類以上あることがわかりました。パセリから新しく見つかったフラボノイド成分が、私たちの身体に重要な役割を果たす可能性もあります。

論文情報:
FlavonoidSearch: A system for comprehensive flavonoid annotation by mass spectrometry.
(質量分析による包括的なフラボノイド推定のためのシステム:FlavonoidSearch)

秋元奈弓1、荒武1,2、中島大輔1、須田邦裕1、池田千晶1、高橋慎吾2,3、宗藤玲子1、山田学1、鈴木秀幸1、柴田大輔1、櫻井望1
1 かずさDNA研究所  2 京都大学大学院農学研究科  3 カゴメ株式会社総合研究所

Scientific Reports (2017) doi:10.1038/s41598-017-01390-3
論文のURL:https://www.nature.com/articles/s41598-017-01390-3

<詳細につきましては以下の資料をご覧ください>
FlavonoidSearch資料(PDF:236KB)