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研究成果

英国王立協会でDaiwa Adrian Prizes 2016の授賞式が開催されました。

2016年11月28日

11月15日、ロンドンの英国王立協会に於いて、Daiwa Adrian Prizes 2016の授賞式が開催され、当研究所先端研究部細胞工学研究室の舛本寛室長が表彰を受けました。日英の科学的協力に貢献した4つの国際共同研究チームに授与される本賞は、細胞工学研究室が英国エジンバラ大学のWilliam C. Earnshaw教授の研究室と長年に渡って行っている、「ヒト人工染色体を用いた、染色体分離のエピジェネティック制御の研究」が評価されたものです。

credit © Yuta Naoumi

授賞式ではEarnshaw教授と共に登壇しました。

 

受賞共同研究の説明:
ヒトゲノムは、2万の遺伝子を含む46本の巨大なDNA分子からなります。細胞が分裂するとき、ゲノムが各娘細胞に正しく伝わるために、DNA分子は染色体と呼ばれる「スーツケース」にパッケージングされます。各染色体にはスーツケースの取っ手のような役割を果たす『セントロメア』と呼ばれる特殊なDNA配列の部分があり、細胞が分裂するときに染色体を正しい方向に導きます。
私たちの共同研究は、『セントロメア』がどのように働いて、染色体分離を制御しているのかを理解することを目的としています。

 私たちの共同研究は、セントロメアの研究を進めるにあたり、Earnshawに、合成DNAから人工染色体を構築し利用するというアイデアが浮んだときに始まりました。Earnshawは、ヒト人工染色体を最初に作製したグループの一つ、名古屋大学の研究室メンバーであった舛本に協力を依頼し、米国国立がん研究所のVladimir LarionovとNatasha Kouprina夫妻チームとともに、2008年に最初の合成人工染色体を単離しました。私たちの共同研究では、合成人工染色体を操作することによって、セントロメア領域の機能のオンとオフを切り替えることができることを示しました。

 私たちの研究は、抗がん剤のスクリーニング、トランスジェニック動物の作製、遺伝子治療や細胞リプログラミングへの将来の染色体利用の可能性を開きました。

 私たちは、認められたいという考えで協力を始めたのではありません。私たちは科学を愛する共同研究者でもあり友人でもあり、何年にもわたってチームとして効果的に協力しながら、科学的な発見と論文発表を目指して研究を続けてきました。今回のDaiwa Adrian Prizes受賞は予期せぬ栄誉であり、心から感謝しています。 日英の科学者の協力から、多くの重要な進歩が生まれていると考えており、このような共同研究を促進するダイワ日英基金の貢献は、両国の科学の将来にとって極めて重要であると確信しています。