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研究成果

マメ科牧草サブクローバの全ゲノム解析

〜環境保全型の牧草の品種改良に期待〜

2016年8月23日

 公益財団法人かずさDNA研究所は、西オーストラリア大学、西オーストラリア州農業・食品部、マードック大学と共同で、マメ科の牧草としてオーストラリアを中心に広く利用されている、サブクローバ(学名 Trifolium subterraneum L.)の全ゲノムを解析しました。

 アカクローバやシロクローバ(シロツメクサ)などのクローバ類は、栄養価の高い牧草として世界で広く栽培されています。中でもサブクローバは、乾燥に強いことからオーストラリアを中心に広く作付けされています。

 今回、世界で初めて成功したサブクローバのゲノム解析により、クローバ属のゲノム配列としては最も高精度な結果を得ました。このゲノム配列を、同じマメ科植物であるインゲンマメ、ミヤコグサ、タルウマゴヤシ、アカクローバとのゲノム配列と比較したところ、マメ科植物種間での配列の保存性が染色体ごとに異なることを明らかにしました。

 マメ科牧草は栄養価が高いものの、家畜のげっぷ等から発生するメタンガスの原因となることが温暖化防止の観点から問題となっています。メタンガスの発生を抑制できる、新たな品種の開発がオーストラリアを中心に行われており、本成果により開発が一層進むことが期待されています。

 解析結果は、Scientific Reports誌で平成28年8月22日18時(英国時間午前10時) にオンライン公開されました。

 サブクローバのゲノムデータベース(Clover GARDEN; http://clovergarden.jp

論文情報:
Hirakawa H, Kaur P, Shirasawa K, Nichols P, Nagano S, Appels R, Erskine W, Isobe S.
Draft genome sequence of subterranean clover, a reference for genus Trifolium.
Nature Scientific Reports (2016)
論文(英文)へのリンク:
http://www.nature.com/articles/srep30358