テーマ 22DNAの単語は3文字の組合せで決まります

Get Adobe Flash player

複数の研究者が遺伝コドンを解読します。

マーシャル・ニーレンバーグです。ハー・コラナのグループと私のグループは遺伝暗号を“破り”ました。私たちは、mRNAのヌクレオチドの言葉がどのようにタンパク質のアミノ酸の言葉に“翻訳”されるのかを解明しました。クリックや他の人たちの遺伝的データは、3つのヌクレオチドが、ひとつのアミノ酸を特定するmRNAの単語である“コドン”を作ることを示していました。 [コドン] これは意味があることでした。なぜならコドンがたったひとつもしくは2つからできていたら、知られている20種類全てのアミノ酸を暗号化できるだけの十分な組み合わせ(単語)を作れないからです。 [1ヌクレオチド = 4つの可能なコドン] [2ヌクレオチド = 4x4つの可能なコドン] しかしながら、3ヌクレオチドのコドンからは64種類の組み合わせができます。これは余剰な、もしくは縮退している暗号を作り上げます。つまり、いくつかの異なるコドンが同じアミノ酸を特定するということです。節約の原則、すなわち、もっとも簡単な答えが多くの場合正しい、という原則から、4ヌクレオチドのコドンの可能性は棄却されました。 [3ヌクレオチド = 4x4x4つの可能なコドン] [3ヌクレオチド = 20アミノ酸のための64コドン] 1961年、客員博士研究員のハインリッヒ・マッセイと私は3文字コドン仮説を試す実験を始めました。私たちは大腸菌の無細胞抽出液を使いました。この抽出液にはmRNAをタンパク質に翻訳するのに必要な全ての成分が入っているはずだと考えたからです。この抽出液をDNA分解酵素(DNase)で処理することで、残っていた大腸菌のDNAを破壊しました。そうすることで、メッセンジャーRNAを作ることのできる鋳型はなくなりました。 [無細胞抽出液] [ DNA分解酵素] マリアンネ・グルンベルク‐マネーゴとセヴェロ・オチョアによって完成された方法を使って、私たちは全てウラシルからなる合成mRNAを作りました。私たちはこのポリ-U RNAを抽出液に加えました。 [合成mRNA] 放射性標識したアミノ酸も加えました。 [放射性標識したアミノ酸] この無細胞系で産生された生産物を調べると、全てフェニルアラニン(PHE)というアミノ酸だけでできたポリペプチドができていました。 [沈殿物][フェニルアラニン] この結果から、私たちは3つのウラシルの配列、UUUはフェニルアラニンをコードしているに違いないと結論づけました。私たちは64種類の3文字コドンのひとつを決めたのでした。 マッセイと私は他のポリヌクレオチド鎖を試してみました。ポリCからはプロリン(PRO)鎖が、ポリAからはリジン(LYS)ができました。面白いことに ポリG鎖からはタンパク質はできませんでした。 他の研究者たちと私は、ただちにこの方法は有効だと認識しました。異なるヌクレオチドの組み合わせを含むRNAの鋳型を作ることで、およそ50種類の3つ文字コドンが指しているアミノ酸を決めました。 これが遺伝暗号表です。ある特定のコドンを探すために、1番目の文字を左側の列を下に向かって探します。2番目の文字は表を横に探します。最後の文字は表の右側の列を下に向かって探します。例えば、コドンC G A: [1番目の文字] [2番目の文字][最後の文字] コドンCGAは、アルギニン(ARG)というアミノ酸をコードしています。 やぁ!フィル・レダーです。私は、残りの遺伝暗号を解明することでマーシャル・ニーレンバーグを助けました。 いくつかのコドンの解読は難しいものでした。私たちは順番を生化学的に決められなかったからです。例えば、2つのGとひとつのCからなる三つ文字の並び方はCGG、GCG、またはGGCになりえます。 マーシャルと私は、この問題を解くのにtRNAの活性化を利用しました。 tRNAは、タンパク質合成のためにリボソームにアミノ酸を運ぶ分子です。1962年に、ロバート・ホ-リーはtRNAの構造を解き明かしました。tRNAは1本鎖ですが、相補的なヌクレオチドの水素結合の並びがあり、短い2本鎖の領域を形づくっています。それによって tRNAは特徴的なクローバーの葉の形に折り畳まれています。 ホーリーは全ての tRNA が同じようなクローバー形の構造を持つことを示しました。ひとつの“葉”のある場所で、3つのヌクレオチドの配列が、特定のmRNAのコドンと塩基対を作るアンチコドンを形成しています。このように、それぞれのmRNAのコドンに対応して、異なるtRNA分子が存在しています。 [アンチコドン] 自分たちの無細胞系を使って、ザメクニックのグループはアミノ酸がtRNAの茎の部分に結合したときにtRNAが活性化されることを示しました。このステップはATPという化学エネルギーを必要とします。 [アミノ酸] 私は最初に3つもしくは6つのヌクレオチドからなるRNA鎖を作りました。それを無細胞抽出液に加えると、活性化されたtRNAがこれらの3ヌクレオチドまたは6ヌクレオチドの配列を読みます。 [6ヌクレオチドの配列] 私は結合していたtRNAを外して、アミノ酸を同定する方法を見つけました。 その後、私のすべきことの全ては、遺伝暗号を確認するために、特定の3ヌクレオチド、もしくは6ヌクレオチド鎖を作ることでした。 [遺伝暗号表] 私たちはまた、翻訳は特別なコドン、ただひとつのユニークなコドン、AUGで始まり、そして、翻訳を終わらせる停止コドンがあることを見つけました。そう、遺伝暗号は単語だけでなく、句読点も持っているのです。 [カーソルを重ねて表を拡大] これらを全てまとめると、核の中でDNA暗号は相補的なmRNA分子に転写されます。 mRNAは細胞質に入ります。そこで、リボソームと結合します。mRNAの暗号はそれからポリペプチド鎖に翻訳されます。 [リボソーム] AUGコドンは、翻訳の開始を指示します。活性化されたtRNAは最初のアミノ酸であるメチオニンをリボソームに運びます。tRNAのアンチコドンは mRNA上のAUGコドンに結合します。複合体全体が移動します。そして次のコドンが別のtRNA によって読まれます。 2つのアミノ酸が位置についたとき、ペプチド結合がそれらの間に形成されます。2つ目の tRNAが伸長するタンパク質鎖を受け取り、メチオニンtRNAは解放されます。 このプロセスは、停止コドンが現れるまで繰り返されます。 停止コドン、この場合はUAAですが、ここまで来た時に、翻訳は終了します。停止コドンには、それに合うtRNAがありません。リボソームは別のmRNAの翻訳に再利用されるために離れます。そしてひとつの完全なポリペプチド鎖が放たれます。

factoid Did you know ?

マーシャル・ニーレンバーグはNIHで働き始める前に、ポール・ザメクニックの研究室のポスドクに応募していました。そのころザメクニックの研究室にはスペースがなかったため、ザメクニックは彼を採用しませんでした。

Hmmm...

ポール・ザメクニックのグループはラットの肝臓を用いた無細胞抽出系を開発していました。彼らはなぜ自分たちの無細胞抽出液を、遺伝暗号を“破る”のに使わなかったのでしょうか?