テーマ 21RNAはDNAとタンパク質の間を仲介します

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フランシス・クリックが、RNAとその役割について述べ、ポール・ザメクニックが、タンパク質合成を説明します。

こんにちは、フランシス・クリックです。DNAの物語は、ワトソンと私がその立体構造を解いて終わるのではありません。なぜなら、DNAは細胞の遺伝分子ですから、私たちは、DNA分子のヌクレオチドの配列は暗号としての機能があり、タンパク質合成を指令できると推測しました。 [タンパク質] 私たちが解き明かさねばならなかったひとつの謎は、細胞の核内に主に存在するDNAによって、細胞質でしか行われないタンパク質合成がどのように指令されるのかということでした。 私は“セントラル・ドグマ”を提唱しました。情報がDNAからタンパク質へ、運搬する分子を介して伝わるというものです。 [タンパク質] [細胞質][核] この情報伝達物質の候補のひとつがリボ核酸、すなわちRNAでした。RNAは細胞質で主に見出される核酸です。 DNAと同様に、RNAは糖とリン酸でできた骨格を持ちます。しかしRNAはデオキシリボ-スではなく、リボース糖を使います。 [デオキシリボ-ス][リボース] DNAとRNAは同じ窒素塩基を使います。ただし、例外として、DNAはチミンというヌクレオチド塩基を使いますが、RNAはウラシルを使います。 [チミン][ウラシル] ウラシルは、ちょうどチミンのようにアデニンと水素結合することができます。 [アデニン] ご存知のように、DNAは通常、二重鎖の分子ですが、RNAは通常1本鎖です。 情報がDNAからRNAそしてタンパク質へと流れるという、セントラル・ドグマを提唱した後、私は別の問題があるのに気がつきました。アミノ酸はどのようにして、情報を運んでいるRNAと相互作用したのでしょうか?そこにはアダプター分子があるに違いありません。実際に、アミノ酸それぞれに対応できるような、20種類の異なるアダプターでなければなりません。 やぁ、ポール・ザメクニックです。私はタンパク質合成に興味を持っていました。1950年代、私はクリックのセントラル・ドグマやアダプター仮説を知りませんでした。私は、この問題を、生化学を使って解こうとしました。 私はラットの肝臓の細胞から抽出物を作りました。それは基本的に水に溶ける溶液で、培養した細胞の全ての成分を含んでいました。1953年に私は、この抽出物には試験管でタンパク質を作るために必要なもの全てが含まれていることを示しました。タンパク質はアミノ酸がひとつずつペプチド結合でつながったポリペプチド鎖であることを思い出してください。 [ポリペプチド鎖][ペプチド結合] タンパク質ができる過程を辿るために、私は無細胞抽出液に放射性標識されたアミノ酸を加えました。 [放射標識されたアミノ酸] 体温に相当する温度で保温し反応させた後、試験管を遠心分離機にかけました。 新しくできたポリペプチドは重くなり、試験管の底に沈殿しているだろうと期待しました。取り込まれなかったアミノ酸は軽いので、上清に残っているでしょう。案の定、放射活性は沈殿物にありました。新しくポリペプチドが合成された証拠です。 [チューブにカーソルを重ねる] [上清][沈殿] [14Cロイシン][取り込まれなかったアミノ酸][ポリペプチド鎖] 沈殿の中に、標識をつけたポリペプチドに混じって、大きな細胞の構造物が同定されました。それは、後にリボソームと名づけられました。リボソームは、タンパク質の組立てが起こる細胞質の器官であることは確実なようでした。リボソームはRNAとタンパク質の両方から出来ています。 リボソームのRNA部分(rRNA)はタンパク質合成に関与しているものの、その働きはよく分かりませんでした。しかし、マーロン・ホーグランドと私は上清にある、取り込まれなかったアミノ酸と会合している別のRNA分子を同定しました。 やぁ!マーロン・ホーグランドです。私は1953年にポールの研究室で働き始めました。課題は、アミノ酸がタンパク質に取り込まれる前に、どのように活性化されるか、つまり、どのようにエネルギーを与えられているかというものでした。それは私の見つけた酵素の働きによるのです。この酵素は、後にアミノアシルtRNA合成酵素と名づけられ、細胞の溶解分画に存在します。 1955年、驚いたことに、ポールとメアリー・ステファンセンと私は、アミノ酸は最初に、同じ可溶性分画にある低分子量の(“可溶性の”)RNA と結合することを発見しました。それから、これらのアミノ酸はリボソームのタンパク質に渡されました。 私たちは、仲介している、運搬役の分子を“可溶性”RNAと名づけました。 ジム・ワトソンが私たちの研究室を訪ねてきたとき、彼は、可溶性RNAがクリックのアダプター仮説の要件に合っていると気がつきました。可溶性RNAはそれぞれパートナーとなるアミノ酸とペアになり、アミノ酸をタンパク質合成の場であるリボソームに連れて行くことができました。可溶性 RNAは後に、その役割(運搬)をよく表せるように、トランスファーRNA(tRNA)と名前がつけかわりました。 [トランスファーRNA(tRNA)と関連するアミノ酸] [リボソーム] しかし、依然として、遺伝暗号からタンパク質を作るのに、細胞質のtRNAとアミノ酸がどのように指令を受けているのかが分かりませんでした。rRNA がどのタンパク質を作るかの“鋳型”となっていると考える人もいましたが、rRNAはその目的に合った特性を持っていないことが明らかになりました。そこで、すぐに、”情報“分子探しが始まったのでした。 こんにちは。シドニー・ブレナーです。同僚のフランソワ・ジャコブとマシュー・メセルソンと一緒に、rRNAがタンパク質を作る鋳型ではないことを示しました。まだ不安定で中間的な3つ目のタイプのRNAが残っていました。それがDNAのメッセージをリボソームに伝えるRNAでした。 私たちは、ファージを感染させた細菌を使って実験しました。細菌を炭素と窒素それぞれの“重い”同位体で培養し、バクテリアの中の全てのRNAとタンパク質に標識をつけました。 [“重い”] それからこの細菌にファージを感染させました … [ファージ] …そしてすぐに感染した細菌を重い同位体のない、でも放射活性のある32Pを含んだ培地に移しました。 細菌が溶菌する前にファージの増殖を止めて、細菌からRNAとタンパク質を抽出しました。 [RNA抽出] 私たちは細菌の抽出物を密度勾配遠心分離にかけました。これにより様々な成分が分離します。細菌のリボソームの中の重い同位体と軽い同位体の分布と、新しく作られたファージRNAへの32Pの取り込みを分析することができました。 最初にリボソームを見てみましょう。ひとつのリボソームは2つのサブユニットからなっています。密度勾配の中で、リボソームは2つのバンドに分かれることができます。重い方のバンドにはまるごとのリボソーム、軽い方のバンドには、ばらばらになったリボソームが入っています。 [バンドにカーソルを合わせる] もしリボソーム中のrRNAが新しいファージのタンパク質の鋳型であるとしたら、ファージの感染後、ファージのrRNAを含んだ新しいリボソームが作られるはずだと考えました。予想した通り、そうではありませんでした。リボソームは全て重い同位体元素でできていました。 そこで、新しくつくられたファージのRNAの中のどこに32Pが取り込まれているのかを調べました。リボソームがまるごと入ったバンドに 32Pが入っていて、また、試験管の底にも32Pがあることを発見しました。 これが、新しいタイプのRNAの発見でした。それはリボソームと結合しているので、タンパク質合成に関わっているはずです。しかし、そのRNAは巨大分子に違いありませんでした。その一部が試験管の底の沈殿の中にも見つかったからです。 これが、クリックが彼のセントラル・ドグマで想定した情報運搬物質でした。私はそれをメッセンジャーRNA(mRNA)と名づけました。

factoid Did you know ?

tRNAはホグランドとザメクニックの実験以前に単離されていました。tRNAはあまりにも小さかったので、誰もそれが重要なものだとは思わなかったのです。tRNAは大きなRNAの分解産物で、そのため、“ゴミ”だとまで考えた科学者もいました。

Hmmm...

アミノ酸ひとつひとつに対する20種類の異なるタイプのtRNAアダプターがあります。tRNA分子はどのようにして自分のアミノ酸のパートナーを認識するのでしょう?