テーマ 16ひとつの遺伝子はひとつのタンパク質を作ります

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ジョージ・ビードルとエドワード・テータムが、アカパンカビの実験を示します。

こんにちは、ジョージ・ビードルです。 1941年に、エドワード・テータムと私は、アカパンカビ(Neurospora crassa)を使った実験をしました。この実験で、遺伝病は体内の化学的経路の過程の欠損もしくは誤り、すなわち、“先天性の代謝異常”であるというアーチボルト・ギャロッドの1902年の理論を証明しました。 [アーチボルト・ギャロッド] アカパンカビは、そのライフサイクルのほとんどが一倍体の生物です。それはつまり、それぞれの遺伝子が1コピーしかないということで、メンデルが気にしたような優性/劣性の対立遺伝子を気にする必要はありません。 [アカパンカビ] 研究室では、アカパンカビは、いくつかの単糖、無機塩とビオチンというビタミンのみを含む“最少”寒天培地上でよく育ちます。 [最少培地] アカパンカビは、これらの物質を生育に必要なアミノ酸やビタミンに転化する酵素を持たなければなりません。 [酸素][塩][砂糖][水] [遺伝子][酵素] [アミノ酸][ビタミン] [生育][最少培地] もし、酵素を作りだす遺伝子のひとつ、例えば遺伝子Aを変異させれば、最少培地で育たないアカパンカビが得られるだろう、と私たちは考えました。 [遺伝子A][酵素A] [ビタミンA] [生育無し][最少培地] 酵素の産物をサプリメントとして与えれば、この変異体は育つことができるでしょう。 [生育][最少培地] エドワード・テータムと私は、これらの栄養に関する変異体を見つけることに着手しました。 ハーマン・マラーは、1927年に、X線によって遺伝子が変異することを示しました。そこで、私たちは、アカパンカビの培養株にX線を当てました。最少培地上で育たない、まれな変異体を得ることを期待したのです。 [X線] 照射したアカパンカビを、全てのビタミンとアミノ酸を含む”完全”培地上で培養しました、次に、これらの培養株それぞれが最少培地上で育つかを調べました。 [培養#1を単離] [完全培地培養#1] [最小培地テスト#1] [培養#2を単離] [完全培地培養#2] [最小培地テスト#2] [培養#3を単離] [完全培地培養#3] [最小培地テスト#3] [培養4を単離] [完全培地培養4] [最小培地テスト4] これら培養株のほとんどは最少培地上で育ちました。つまり、これらは私たちの探しているタイプの遺伝的変異を持っていません。 しかし、#299の培養株は最少培地上で育たなかったのです。 [完全培地培養#299] [最小培地テスト#299] そこで私たちは、#299の株をアミノ酸もしくはビタミンを添加した最少培地で育ててみました。 [+ビタミン][+アミノ酸] [最少培地] [生育] #299の培養株はアミノ酸添加最少培地では育たず、ビタミン添加最少培地では育ちました。従って、培養株#299はビタミンのうちのひとつを作り出すことができないはずです。 そのため、培養株#299にどのビタミンがないのか調べなければなりませんでした。私たちは、単一のビタミンを添加した最少培地上で培養株#299が育つかを調べました。 [+アミノ酸] [+ビタミン] [+ナイアシン] [+リボフラビン] [+チアミン] [+ B6] [最少培地] 私たちは、培養株#299が、ビタミンB6を与えたときにのみ育つことを明らかにしました。 これが私たちの最初のアカパンカビ変異体でした。ビタミンB6合成経路の酵素のひとつを損なっているために、それ自身でビタミンB6を作れなかったのでしょう。従って、この酵素を作る遺伝子がX線によって変異したに違いありません。 [酸素][塩][砂糖][水] [X線][遺伝子][酵素] [ビタミンB6] サプリメントとしてビタミンB6を最少培地に加えることで、変異が補われて培養株#299は育つことができたのです。 [生育][最少培地] この選択と添加の方法によって、私たちは多くの異なったタイプのアカパンカビ変異体を単離しました。遺伝子の変異は代謝経路を損ない、私たちは多くのビタミンやアミノ酸の合成経路を確認しました。 例えば、アルギニンというアミノ酸は、酵素によって触媒される、段階的な過程によって合成されます。前駆体分子はオルニチンに、更にシトルリンに変換され、最後にアルギニンに変換されます。 [前駆体][オルニチン][シトルリン][アルギニン] もしひとつの遺伝子がひとつの酵素を作るのであれば、この合成過程の各段階において遺伝的な変異があるはずです。アルギニン変異体の中に、オルニチンやシトルリンやアルギニンをサプリメントとして必要とするものがあるはずです。 私たちの仲間であるエイドリアン・スルプとノーマン・ホロヴィッツは1944年にこれらの変異体を見つけました。彼らは、アルギニンをサプリメントとして必要とするアカパンカビの変異株から始めました。これらの株は異なる遺伝子に変異を持っていました。 [変異体#1,2,3] 例えば、変異体#1はオルニチンを作れません。すなわち、オルニチン合成の酵素を作る遺伝子が変異しているに違いありません。 [変異体#1] もしオルニチンを培地に与えたらシトルリンとアルギニンが作られ、変異体#1は育つことができるはずです。 [変異体#1+オルニチン][生育] 同様に、変異体#2はアルギニンの前駆体であるシトルリンを作る酵素を損なっていました。 [変異体#2] シトルリンをサプリメントとして加えることで変異が補われ、アルギニン合成が最後まで進みました。 [変異体#2+シトルリン][生育] そして、#3の遺伝子変異体はシトルリンのアルギニンへの変換という、アルギニン合成の最後の段階を損なっていました。 [変異体#3] アルギニンをサプリメントで添加することで変異が補われ、変異体#3は育つことができました。 [変異体#3+アルギニン][生育] それぞれの遺伝子の変異により、代謝経路のひとつの段階のみ損なわれます。従って、ひとつの遺伝子は、ひとつの酵素もしくはタンパク質に対応するのです。私たちは、“先天性の代謝異常”という、アーサー・ギャロッドの1908年の提案の生化学的な証拠を手にしたのです。

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ジョージ・ビードルはガーデニングが好きでした。どこに住んでも必ず、庭に緑の空間を持ちました。彼は、誰が一番甘いトウモロコシを育てるか、一番大きいカボチャを育てるか、ガーデニング仲間と賭けをしました。

Hmmm...

ビードルは、トウモロコシとショウジョウバエの遺伝学の研究で成功していました。“一遺伝子一酵素”の実験のため、なぜさらに別の系であるアカパンカビに切り替えたのでしょうか?